far beyond
02
エドワードがアルフォンスに全部話すと、アルフォンスはエドワードに言った。
「・・・ていうか、やっぱり風邪ひいてたんだ・・・。」
「・・・・・・・ごめん。」
「もうひいてしまったものはしょうがないじゃないか。これからは気をつけてよ。」
「ああ、わかった。」
「明日、そうしてもパーティ行くの?」
「仕方ねぇじゃねぇか、中尉にお願いされたら断れねぇよ。」
「そうだけどさ・・・」
「大丈夫だって!心配すんな!中尉もいるしな。それに、俺は鋼の錬金術師だぜ?」
(そういうことじゃないんだけどなぁ・・・・・・女の人の格好したら兄さんの可愛さが余計目立ってしまうじゃないか・・・)
「ん?どうした、アル?」
「なんでもないよ。それより僕はどうしたらいいの?宿にいればいい?」
「いや、大佐が明日アルも連れて来いってよ。どうするかは知らねぇけどな。」
「分かったよ。本当は僕もパーティに付いていきたかったんだけど、この体じゃあ行けないしね。」
アルフォンスは人体練成の失敗により体全部を持っていかれてしまったが、エドワードによりエドワードの右腕を代償に魂を練成し鎧に
定着され、鎧姿となっている。だがしかし、れっきとしたエドワードの弟である。エドワードは国家錬金術師になるときに女であることを捨
てたのでアルフォンスには゛兄さん゛と呼ばせているのだった。
「ごめんね、アル。お前もパーティに行きたかったんだな。」
顔を曇らした兄にアルフォンスは慌てて言った。
「あっ、兄さんいいんだよ。僕そんなつもりで言ったわけじゃないから。」
「そうなのか?」
「うん。じゃぁ、元に戻った時に連れて行ってよ。」
「あぁ、連れて行ってやるよ。」
エドワードが笑顔で言ったので、アルフォンスはホッした。
(兄さんには少しでも笑顔でいて欲しいからね)
「ほら、兄さん風邪ひいてるんだから、寝ないと!明日行けなくなるよ!」
「分かったよ。・・・じゃあな、おやすみ。」
「おやすみ。ちゃんと布団きて暖かい格好して寝るんだよ!」
「へいへい。」
エドワードは母親みたいに言うアルフォンスに気の抜けた返事をして2人は部屋が違うためお互いに自分に宛がわれられた部屋へと入
っていった。なぜ部屋が別々なのかというと、エドワードが眠ることのできないアルフォンスを気遣って寝ようとしないからアルフォンス
が「別々の部屋にしよう」と言ったからである。
次の日
「兄さーん!起きてるー?今日は司令部に行かないだめなんでしょ?」
朝、アルフォンスが隣のエドワードの部屋に声をかけたら返事が返ってこなかった。
「兄さん?まだ寝てるの?開けるよ?」
アルフォンスが部屋のドアを開けると、部屋に置いてあるベッドはまだ膨らんでいた。
「兄さん。もう朝だから起きなよ。」
すると、布団の中からエドワードが頭だけを出した。その顔はこころなしか赤い。
「大丈夫?顔赤いよ?」
「・・・・・・・頭痛てぇ・・・・・・・」
「えぇ!風邪ひどくなったんじゃない?今日本当に行くの?」
「・・・・・・・あぁ、昨日約束したしな。行かなかったら大佐に何言われるか。」
「わかったから、とりあえず体温を測ってみようよ。」
「いいよ、別に。」
「ダメ!今日行くのならせめて体温だけでいいから測っていって!じゃないとここから出さないからね!」
「・・・・・わかったよ・・・・・」
「じゃぁ、おとなしくしててね。今体温計もらってくるから。」
「へいへい。」
もう1度「おとなしくしててね。」とくぎをささしてアルフォンスは急いでフロントに体温計を借りに行った。幸いすぐに出してもらえたのです
ぐに戻ってきた。
「さ、兄さん。測って。」
「はいはい。」
エドワードは返事をして体温計を脇にはさんだ。この体温計は司令部のとは違い熱を測るのに5分かかった。
そして5分後・・・
「・・・・・・・・37.8度・・・・・・・」
「昨日よりあがってるね。朝でこれだけ高いんだから昼にはもっとあがるよ。それでも、行くの?」
「行くよ。」
「兄さんは1回言ったらきかないんだから。朝ご飯だけど、食べれそう?」
「・・・食べたくない・・・」
「でも、食べないと・・・じゃぁ、朝と昼一緒にする?」
「そうしてくれ。」
「宿の人におかゆ作ってくれるように頼んでくるよ。寝ててね。」
「あぁ。」
そして、アルフォンスは宿の人におかゆを頼みに出て行った。しばらくして、いつのまにかエドワードは眠っていた。
次に目が覚めたときには部屋にアルフォンスがいた。
「あっ、目覚めた?おかゆ作ってもらってきたよ。宿の人が薬くれたからおかゆ食べて飲んでね。」
「・・・・・・食べたくない・・・・」
「ダメ。薬飲まないとだめなんだからおかゆ食べて。折角作ってもらったんだから。」
「・・・わかったよ。」
アルフォンスに言われてエドワードはしぶしぶながら食べ始めた。その間アルフォンスはでかける準備をしていた。
「・・・・・アル、食べた。」
準備しているアルフォンスにエドワードが声をかけた。
「薬ちゃんと飲んだ?」
「あぁ、ちゃんと飲んだよ。」
「じゃぁ、準備できたし、そろそろ行こうか。僕部屋の外にいるから準備できたら出てきてね。」
「わかった。」
エドワードはいつもの旅の服装に着替えてアルフォンスが待つ、部屋の外へと出た。
「アル、お待たせ。行こうか。」
「うん。兄さんしんどくなったらすぐ言ってよ。」
「分かってるって。」
そして、兄弟は司令部へと向かった。

